起業・創業のイロハ STAGE 03『ハ』 事業計画をつくろう

STAGE03の”ハ”では、
事業計画のつくり方を
ご紹介しています。

目次

事業計画について

起業 する際も大切な事業計画とは、どのような目的でどのように事業展開していくか、資金をどのように確保し、どのように販売するかなどを書き表したものです。

事業計画について

事業計画をつくろう

これまで書き出した事業計画を体系的に、また、論理的に書くことで、自分のやりたいことを客観的にみることができるとともに、事業開始に不足しているもの、新たな課題や問題点をみつけたり、自分が行うべきことを明確にしたりすることができます。
つくっては見直し、つくっては見直すことで、よりよいものが出来上がります。

また、事業資金の融資を受ける場合には事業計画が必須です。
さらに、事業開始後、起業前に想定していた売上に達していないことが多いのですが、どうして、目標に達成しなかったのか、想定していたことと何が違って、何を改善すればよいか、気づきやすくなります。

事業計画の項目(例)

様式は特に決まりはありませんが、以下の項目を参考に事業計画を作成してみましょう。

事業計画の項目(例)
事業目的・概要自分が、なぜその事業を行うのか。どうしてやりたいかを書きます。どのような事業か。どのようなこと、誰に対して行うかなど。
経験やノウハウ自分の経験やスキルはどうか。他社との違いや自分のアピールポイントなど。
商品やサービスの概要、特徴どのような商品やサービスを提供するか。自社の商品やサービスは他社と比較して、差別化する点、優位点など。
市場の状況ターゲットとなる顧客・市場規模・競合の状況を書きます。今(若しくは将来)、世の中にどのように必要とされているかなど。
販売計画商品・サービスをいくらで、どのような方法で提供するかを書きます。また、PRはどうするか、販売促進をどのようにするのか、どのくらい販売するのかなど。
仕入計画商品・原材料などはどこから、いくらで仕入れるのか。取引先はどこか、仕入時の支払い条件をどうするかなど。
店舗・設備計画どのような事業所をどこに立地するか。どのような設備が必要か。どうやって調達するかなど。
生産計画どこで、どれくらい、どうやって生産するのか。どのくらいの期間で生産するかなど。
人員計画どのような人材を、どのくらいの人数必要か。また、どのくらい研修をするのかなど。
収支計画売上見込み(1年間は月毎)どのような経費がいくらぐらい必要か。結果として、利益はいくらかなど。
資金計画必要なお金はいくらで、どのように調達するのか。
課題開業及び事業の継続にあたり、どのような課題があるのか。

日本政策金融公庫 創業計画書の雛形

日本政策金融公庫のホームページから、申込時の必要書類の書式、創業する方向けの参考資料等をダウンロードすることができます。

各種様式ダウンロードのページ

創業計画書(Excel) 創業計画書(PDF)

J-Net21 事業計画書の作成例

J-Net21のホームページで飲食業、小売業、サービス業の事業計画書の作成例を掲載しています。
J-Net21は、独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営する、中小企業とその支援者、創業予定者とその支援者のためのポータルサイトです。

事業計画書の作成例

各項目のポイントについて

STEP02で挙げた各項目のポイントを詳しく見てみましょう。

事業目的・概要

自分が、なぜその事業を行うのか。どうしてやりたいかを書きます。どのような事業か。どのようなこと、誰に対して行うかを簡潔に書きます。端的にみんなに伝わるように書くのがポイントです。

  • 単なる勢いや思い付きではなく、しっかり練られた計画であること
  • 「今」「なぜ」「どうする」を書き出す
  • 動機
  • 自分がやりたい事業を端的に、かつ、明瞭に書くこと

経験やノウハウ

自分の経験やスキルはどうか。他社との違いや自分のアピールポイントを書きます。
また、起業後、事業を継続するためのノウハウや、他社に負けない強みがあるかを書きます。

  • これまでの経験を生かした事業であるか、また、他にないアイデアであるか。
  • 資格取得、事業を興すための経験、若しくは、ノウハウがあるか、他者と比較しての優位性
  • 経験やノウハウを補うためのネットワーク、従業員の確保などについて
  • 事業そのもののほか、過去に会社を経営したことがあるかなど

商品やサービスの概要、特徴

どのような商品やサービスを提供するか。自社の商品やサービスは他社と比較して、差別化する点、優位点などについて書きます。

  • 取扱商品(サービス)は何か。
  • 他社との違い(品ぞろえ、価格、品質、サービスなど)
  • それが売れる理由はなにかを書きます。
  • 自社のセールスポイントを書き出します。

市場の状況

ターゲットとなる顧客・市場規模・競合の状況を書きます。今(若しくは将来)、世の中にどのように必要とされているかを書きます。

販売計画

販売計画は経営戦略の重要な項目です。商品・サービスをいくらで、どのような方法で提供するか、「価格」「流通」「販売促進」の3つの項目について、十分に検討しましょう。適正な価格設定で、適切な場所で販売し、効果的な販売促進をすることで売上の向上につながります。

What’s 販売計画?

  • 価格
    商品・サービスをいくらで提供するのかを決めます。単に安ければいいというものではなく、内容に応じた適正な価格設定を行いましょう。
  • 流通
    どのような経路で商品・サービスを提供するかを決めます。店舗で直接販売するのか、代理店を通じて販売するのか、インターネットによるネット販売なのかなどを検討します。
  • 販売促進
    商品・サービスをどのように顧客に知ってもらうかを検討します。チラシの配布、雑誌への掲載、インターネットなどで周知します。近年ではSNSの活用もあります。あなたの商品・サービスのターゲットに合った方法を検討し効果的に周知しましょう。

販売戦略が固まったら、実際の販売目標を立ててみましょう。販売目標となる売上高は次のような算式で積算することが多いです。また、平日と週末での客数や客層の違い、季節などを考慮して作成すると、より明確になるでしょう。希望的観測ではなく、店舗周辺の通行量などから具体的に算出すると良いでしょう。

<主に小売業など>

  • 商品・サービスの単価×年間営業日数(扱う商品・サービスの種類が少ない場合の算出方法)
  • 1坪または1㎡あたりの年間売上高×売場面積(店舗販売が主となる場合の算出方法)

<主に飲食業など>

  • 客単価×席数×回転率×営業日数(席数を設けて事業を行う場合の算出方法)

<主にサービス業など>

  • 従業員1人あたりの売上×従業員数(労働を対価とするような場合の算出方法)

仕入計画

仕入計画は販売計画に基づいて、在庫量を決め、材料などを仕入れるための計画です。いくらの売上を目標にして、材料などがどれくらい必要となるのか、それを仕入れるための資金はどれくらい必要になるのかを検討します。また、どのように仕入れるかも重要な検討事項のため、仕入時の支払い条件などについても、不利にならないような条件となるよう、複数の仕入先候補を探してみましょう。

店舗・設備計画

事業を行うには、事務所や店舗が必要となります。デスクワークが中心であったり、客先への出張が中心となる事業であれば、自宅での開業を検討するとよいでしょう。また、事務所や店舗を選ぶ際には、できるだけ多くの物件を見て回り、自分の目で確かめて選びましょう。事業によっては立地が事業成否の大きな要因となります。設備投資を無駄にしないためにも、通行量や競合相手の状況など周辺環境も含めて確認し、また、時間帯や曜日を変えて調査をしてみるなど慎重に調査・検討して決めましょう。場所が決まったら必要な設備も検討しましょう。

生産計画

生産計画では、どの製品をいつ、どのくらい、いつまでに生産するのかを検討します。生産計画を立てることで生産業務を効率化することができ、精度の高い内容であればあるほど、QCD(高品質・低コスト・短納期)を実現することにつながります。

人員計画

従業員を雇う際に発生する人件費は、全体の費用の中でも大きな割合を占めます。そのため、人員計画では、どのような業務に何名の人員が必要なのかを検討します。組織図などを加えると、分かりやすい人員計画になります。
人員については、基本的に1年目は必要最低限の人数で、2年目以降は売上計画の上昇に応じて増員を検討します。また、正社員なのか、あるいはアルバイトとして雇用するのかといった検討も必要です。
また、人件費は、正社員であれば設定した年間の給与に人員の人数を掛けて算出し、また、アルバイト等については時給を年間の時間数で掛けて算出します。その他、社会保険の会社負担分などの法定福利費、残業代についても、一定の割合を見積もり、算出しておきましょう。

収支計画

売上、経費はいくらで、利益はいくらでるのかなどを書きます。
収支計画は事業の売上から、経費や売上原価を差し引いてどれだけ利益がでるかを検討する計画です。売上高は堅実に見積もり、経費や売上原価は余裕をもって見積もりましょう。また、開業から最低3年間分は計画を立てておきましょう。

  • 売上高 - 経費 - 売上原価 = 利益

※経費:財務諸表上「販売費及び一般管理費」として扱われるもの(役員報酬、人件費、水道光熱費、消耗品費、旅費交通費、広告宣伝費など)
※売上原価:商品の仕入高のことをいい、業種によっては材料費や人件費なども売上原価となります。

資金計画

必要なお金はいくらで、どのように調達するのかなどを書きます。
起業のためにどのような資金が必要で、どこから調達するのか検討しましょう。主に「設備資金」「運転資金」の2つについて検討し、初年度には「創業費用」も考慮しましょう。

  • 設備資金:店舗、備品、車両など
  • 運転資金:家賃、人件費、商品仕入、経費など
  • 創業費用:法人設立費用、会社印作成、印紙税など

課題

開業及び事業の継続にあたり、どのような課題があるのか。
事業をスタートし、経営がうまくいかなくなるケースの多くは、最初の事業計画の詰めが甘いというケースが多くあります。一般的な企業の10年生存率は1割にも満たないと言われており、起業後、事業を継続していくことは決して簡単なことではありません。そのため、事業計画をしっかりと作成し、どのような課題があるのかを洗い出すことが必要です。

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