起業・創業のイロハ STAGE 01『イ』 起業・創業までのSTEPを学ぶ
起業・創業するにあたって、
何から始めればよいかわからない。
準備や必要な手続き、
事業計画の作成など、
ステップごとに起業・創業に向けた
基本的な知識・情報を
“起業・創業のイロハ”として
説明します。
目次
構想を練る・情報を集める
STEP01では、起業 ・創業する前に
やっておきたいことについて説明します。
構想をしっかりと固め、ブレない軸を
用意しましょう。
やりたいことや事業アイデアを明確にしよう
日ごろからぼんやり思っている、やりたいことを書き出してみましょう。また、それに関連することを書き出し、アイデアを一旦、広げてみましょう。書き出すことで次のアイデアを呼び起こしやすくなります。それを繰り返していくことで、具体化した起業アイデアに辿り着くことができます。
あわせて、自分のもつ経験やスキル、他者とは違うこと、起業後のウリとなることなども書き出してみましょう。
やりたいことや事業アイデアを明確にしよう
起業のアイデアは、自分が普段触れているものや、家族・友人との会話の中など、日常生活のいろいろなところにあります。面倒くさいと思えることを解決するサービスや、既存サービスをより便利なものに発展できないかなど、身近なところにアンテナを張って、考えてみましょう。
また、先輩起業家の体験談は、起業を志したきっかけやどのようにビジネスに結び付けたかなど、起業のヒントになるはずです。
思いついたアイデアは、簡単にメモを取りましょう。書き出すことで、次のアイデアを呼び起こしやすくなります。それを重ねることで、品質の高い起業アイデアに辿り着くでしょう。
情報収集をしよう
やりたいことが明確になったら、同業の知人のお話や既に開業している人の体験談を直接聞くほか、インターネットなどで調べてみましょう。
起業に向けてさまざまな情報を入手することが重要です。
情報収集を
しよう
インターネットなどで起業に関する基礎的な情報を調べることはもちろんですが、家族や知人、先輩、専門家などの「ヒト」に聞いて、リアルな情報や客観的な意見を得ることが重要です。なかには、良い話ばかりではなく、苦労話や嫌な話もあります。もしかすると、そこで踏みとどまることがあるかもしれません。
しかし、起業プランのリスクや可能性を事前に把握し、それでもなお、起業する強い意志があるのか、確認しておくことが必要不可欠です。
事業アイデアを実現する道筋を具体的にしよう
ビジネスとしての可能性について検証します。
顧客は誰か、顧客のニーズの把握、「どこで」「どのくらい」「どうやって」行うか、シンプルにアイデアをまとめ、起業に基づく事業コンセプトを決めていきます。
事業アイデアを実現する道筋を具体的にしよう
素晴らしい起業アイデアがあっても、具体的に収益に結びつけられなければ、ただの思いつきで終わってしまいます。アイデアが生まれたら、それを形にしていく必要があります。客観的な視点を持って具体化していきましょう。
ターゲットの絞り込み(「誰に」)
最初から万人受けする商品・サービスを提供することは難しいため、誰に対して商品を販売するのか、ターゲットを明確にしましょう。ターゲットが決まれば、商品開発や広告宣伝などの焦点が定まり、顧客に対しても専門性を持ったPR活動ができます。そのため、顧客の年代、性別、職業、居住場所、趣味、価値観やライフスタイルの考え方、提供する商品・サービス群の利用頻度などについて検討します。
商品・サービスの具体化(「何を」)
顧客が商品・サービスを購入し使用することで、求めている価値は何か。売り手の視点ではなく顧客の視点に立って、自身の提供する商品・サービスの価値を明確にすることが必要です。小売やサービス、飲食業であれば、取り扱う商品・サービスのラインナップや価格帯などを検討します。初めは、商品・サービスの品目を列挙するのではなく、カテゴリーを構成することで、イメージが沸きやすくなります。
提供方法の検討(「どのように」)
商品・サービスを提供するうえでは、接客や付帯サービスの品質を高めたり、内装や備品にこだわったりすることで、顧客にとっての商品・サービスの価値を高めることができます。同じ商品でも、提供方法を工夫することで、ライバルとの違いを出すことが可能となります。
業界の「今」「未来」を知ろう
起業しようとする事業のトレンド、顧客の趣向や現在のニーズはどのような状況でしょうか。今まさに注目を浴びているような業種もあれば、これから成長が見込まれる業界や不利な状況の業種もあります。自分が起業したいと思う事業の業界がどのような状況であるか、充分に知っておくことが大切です。
起業する業界の「今」「未来」を知ろう
必要な商品・サービスがいつでもどこでも、誰もが購入できる環境が整備されている現代においては、顧客満足度は比較的高水準で推移しているといえます。一方、個々のライフスタイルや好みなどが多様化していることから、より顧客のニーズを的確に把握する必要があります。
提供しようとする商品・サービスの業界を調査することで、顧客のニーズや満足度、価格帯の相場、将来性などを知ることができます。
調査の具体的な方法としては、インターネット調査や訪問調査、インタビューなどが挙げられます。調査の目的を明確にし、正しい調査方法・調査対象を設定することが必要です。
顧客、ライバルを知ろう
自分ではとても良い事業のアイデアができたと思っていても、市場から受け入れてもらえなければ、失敗してしまいます。自分が起業したいと思う事業の商品やサービスは、地域や周りにどのような競合相手がいるのか、いる場合には比較したときの自分の強みは何かなど、市場の分析や情報を得る必要があります。
顧客、ライバルを知ろう
自身が提供する商品・サービスには、どのような顧客やライバルが存在しているのかを把握しておきましょう。基本的には同じ商圏で、似た業態や使われ方をしているところに着目します。3社以上は、競合する企業の商品やサービスなどを比較してみましょう。自身の強み・弱みはここにあり、顧客のこういうニーズに対して、こういう差別化を図るといった仮説を立てると良いでしょう。
書き出した情報を並べて考えてみよう
自分のやりたいことがビジネスとして成り立つか、ライバルに勝つ、若しくは、共存してやりくりできるか考えてみましょう。
商圏は適切か、客層は妥当か、いろいろ考えてみましょう。
書き出した情報を並べて考えてみよう
調べた情報は、紙に書き出したり、スマートフォンやパソコンに打ち込むなどして、見返してみましょう。単なる理想ではなく、きちんと実現できる事業であるかを考えます。具体的な商品・サービスのイメージ、購入してくれる顧客のイメージ、仕入先のイメージなど、経営するうえで必要な内容を整理しておくことが必要です。また、ライバル企業の研究や客観的な分析も欠かせません。
「ヒト」「モノ」「カネ」
STEP02では、起業してから事業を継続するうえで
必要な「ヒト」「モノ」「カネ」について
説明します。
すべて起業に必要な要素ですので、
じっくり、起業後の自分を
イメージしながら考えてみましょう。
創業に不可欠な「ヒト」について考えてみよう
事業の実施には「人」が欠かせません。
例えば従業員をどのように、どのくらい採用し、どのように育成するかなどを具体的に考えていきます。
そのほか、顧客、取引先、同業者などについても考えてみましょう。
従業員について
必要な雇用者をどのように採用し、育成していくのかなどを具体的に詰めていきます。特に採用活動は、近年の人手不足の影響からなかなか思うように進まないケースが多く、余裕をもって進めていくことが重要です。
顧客について
どういったお客様をターゲットにするか考えてみましょう。例えば、同じ事業でも広く一般的に受け入れられる商品に付帯サービスを付ける、もしくは専門性を発揮して、コアなお客様をターゲットにすることもあります。また、近隣のお客様なのか、インターネットを活用して、日本、さらに全世界を相手にするかによっても大きく異なります。
取引先について
商品はどこから調達しますか。安いところにしますか。信頼のおける取引先にしますか。また、ライバル企業との差別化を図るためには、独自に取引先を開拓することも必要です。あらかじめ、取引先についても考えておきましょう。
同業者について
同業のネットワークにはどのようなものがあるか調べてみましょう。商工会議所や事業協同組合など、困ったときに相談できるかもしれません。また、企業同士が連携し経営資源を出し合うことで、新たな技術や商品の開発につながったり、共同受注によるコスト削減などのメリットもあります。異業種交流が思わぬビジネスの発展を生むかもしれません。
創業に必要な「モノ」を考えよう
「モノ」とは店舗、原材料、設備、事務機器などです。
資金の大半を占める設備を決めることは重要な事項です。
費用対効果を考え「モノ」を選ぶ必要があります。
必要な「モノ」を洗い出し、それが本当に必要かどうか、ふるいにかけることで、支出を減らすことができます。
店舗、事務所について
事業はどこでやるか、繁華街がよいか、人は多くなくてもよいか、従業員が通いやすいか、などの視点も必要です。 まずは、自宅で事業を始めるというケースも考えられるでしょう。賃貸の場合は、賃料も踏まえて検討する必要があります。
原材料について
優良な商品を提供するには、原材料の選定も大切なポイントの一つです。安全性の高い原材料を用いることで、顧客からの信頼、継続利用につながります。
設備、事務機器について
事業をスムーズに進めるためには、事務所の設備や事務機器を整えることは重要です。
例えば、プリンターでいうと家庭用よりもビジネス用の方が出力のスピードが早く、効率的に業務を行うことができます。一方、過剰な設備費用は経営を圧迫することにもなり兼ねないため、本当に必要なものかをしっかりと検討することが不可欠です。
お「カネ」は大事です
「カネ」とは、準備金、資本金、運転資金のほか、借入金、助成金などです。起業に必要なお金はどのくらいですか。また、起業直後、お客様が少なくてもやっていけますか。それはどのくらいの期間ですか。売上の増減に資金のやりくりは経営者の力量が問われる場面です。
起業には様々な場面で費用が発生します。自己資金は多くあって困るものではなく、無借金経営が望ましいですが、全額を用意することは容易ではありません。困ったときに融資制度などをすぐに活用できるよう、日頃の金融機関などとの付き合いも大切です。少し先も予測して資金計画を考えることも重要なポイントです。
また、起業後の商品・サービスの決済方法をどうするかも検討が必要です。最近ではクレジットカードや電子マネーをはじめ、スマートフォンを活用したキャッシュレス決済を導入する企業が多くみられます。
さらに、キャッシュレス決済とあわせて、ポイント制度を導入する企業も増加しています。ポイント制度を上手く活用することで、顧客の囲い込みや競合との差別化などが期待できます。
では、実際に起業に必要な「カネ」を見てみましょう。
開業準備金について
開業を決意してから実際に営業を開始するまでに、準備のために使用した費用のことを開業準備金(開業費)といいます。開業準備金は特別な取り扱いが認められており、収入から控除することができますが、個人と法人で開業費の取り扱いが少し異なります。
個人事業主の場合は、開業前に支払った事務所の家賃や従業員の給料などを含め、基本的にはすべて開業費にできます。一方、法人の場合は、開業のためだけに特別にかかった費用しか開業費にすることができないため、家賃や給料などは、地代家賃や給与手当などの経費で処理します。
なお、開業費にできないものとしては、販売目的で購入した材料(仕入代金)、10万円以上する備品や機械、後々戻ってくる礼金などが挙げられます。
資本金について
資本金は開業時に準備する会社設立のためのお金で、会社の体力や規模を表します。基本的には経営者本人が自己資金を投じて資本金とします。1円からでも会社を設立できますが、資本金は会社の体力を示し、信用度として見られることも多いため、信用に足るだけの最低限の金額は必要となります。
また、会社設立後、当面の事業運営のための資金となり、一般的には会社設立から3ヶ月は利益がまったくなくても事業が続けられる資金を目安にします。さらに、事業の内容によっては許認可が必要ですが、一定額以上の資本金がないと認可がおりないケースもあります。例えば、一般建設業や職業紹介事業では、許可要因として500万円以上の資本金が必要となります。
運転資金について
運転資金は、売上と連動して日々変動する変動費と、売上と連動しない固定費の2つに分けられます。
- 変動費…材料費、仕入費、消耗品など
- 固定費…人件費、物件賃貸料など
変動費の割合が大きい場合、売上が上がった分、変動費も上昇しますが、売上が下がった場合は変動費も減ることになるので、事業は比較的安定します。一方、固定費の割合が大きい場合、満足な売上が確保できないと、事業が急激に厳しくなってしまいます。原則として、開業当初は売上の見込みが立ちにくい状態ですので、「固定費」を抑える必要があります。
続いて、必要な資金をどのように調達をするのか、見てみましょう。
自己資金を用意しておこう
自己資金とは、自己の所有する資金のことをいいます。自己資金として認められるのは、預貯金通帳で確認できる出どころの確かな現金であり、主に次のものが挙げられます。
- 自身の預金通帳に貯めたお金
- 退職金
- 資産を売却した資金
- みなし自己資金
- 第三者割り当て増資
地道に資金を準備できるということは、経営者の資質にもつながるポイントです。コツコツと開業資金を貯めるようにしましょう。
クラウドファンディングを活用してみよう
クラウドファンディングとは、プロジェクトの内容や理念に共感した人々からの協賛を募る資金調達の方法で、SNSなどを利用した情報発信により出資者にアピールするのが特徴です。
出資をするのは主に一般の個人であることが多いので、一口ごとの協賛金額は少ないものの、たくさんの相手にリーチすることでまとまった金額を調達できることも可能です。
クラウドファンディングによる資金調達がしやすいのは、消費者の日々の暮らしの向上にダイレクトにアプローチできるようなビジネスや、一般の人々から共感を得やすいような社会的ビジネスでしょう。クラウドファンディングを実施することで事業の認知度向上にも貢献するので、宣伝効果もあります。
ただし、継続的にまとまった金額を調達できる保証はなく、必要資金のすべてをクラウドファンディングのみでまかなうのは現実的ではないということも理解しておきましょう。
ベンチャーキャピタルから出資されるかも
ベンチャーキャピタル(VC)とは、まだ株式上場などには至っていないが、大きな成長が見込める企業を対象に投資する会社のことです。創業から日の浅い企業は、上場企業などに比べると失敗等のリスクは高いですが、ひとたび軌道に乗れば急速に大きく成長する可能性を秘めているのも新しい企業の特長です。VCは、そうした新しい企業のリスクをふまえつつ、大きな成長とそれによる大きな利益を狙って投資をします。
VCからの投資は、
- 返済が不要
- 経営的なサポートが受けられる
- 対外的な信用につながる
といったメリットがあります。まずは、イベント等でVCとのつながりを持つことが大切です。
起業・創業時の融資制度について知っておこう
次のページで詳しくご案内しています。
もう一度考えてみよう
起業後の自分について、イメージができたら、
一旦、落ちついて考えてみましょう。
家族や親しい知人などにも相談してみましょう。
イメージしてみよう
情報がそろったら、起業した自分をイメージしてみましょう。
売り場に立った自分、プログラミングしている自分、経理を行っている自分。困りそうなことはないか、様々な状況を想定して対処できるか。あらゆる方面へイメージを膨らませてみましょう。
家族に相談してみよう
起業することを家族、または親しい知人にお話ししましたか。 応援してもらえそうですか。
また、自分の知らない自分を知ることができるかも。そのことが起業に大きく関わることも。
家族に理解してもらうことで、創業後のさまざまな課題、大きな課題を乗り越えることができるでしょう。
不安があれば、もう一度STEP01に戻り、考えてみましょう。
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