先輩起業家インタビュー 第3弾
相模原市で起業し、株式会社alles liebeを設立された代表取締役社長 青木 啓子さんと取締役副社長 小野 伸一郎さん。
令和5年8月に淵野辺駅北口に開設されたばかりのスタディー&ワーキングルーム“SABO”にてインタビューさせていただきました!
青木さんと小野さんは、令和4年度及び5年度の相模原アクセラレーションプログラム(SAP)に採択され、現在も伴走支援を受けながら、更なる成長を目指し大奮闘中のお二人!
福祉×ビジネスという独自の切り口で挑戦するお二人のルーツに迫ります!
プロフィール
〔青木さん〕
・1969年10月 東京都港区で生まれる
・1995年1月 相模原市に引っ越す
・2010年4月 NPO法人かがやき福祉会入職
・2011年4月 社会福祉法人まちだ育成会 かがやき入職
・2014年4月 社会福祉法人まちだ育成会 美術工芸館異動
・2015年4月 サービス管理責任者取得
・2017年4月 主任昇格
・2021年7月 退職
・2021年8月 障害者専門の結婚相談所・一般結婚相談所を個人事業主として申請
・2021年9月 障がい者専門の結婚相談所・一般結婚相談所の事業開始
・2022年3月 足こぎ車椅子「COGY」普及開始
・2022年11月 株式会社alles liebeを開業
代表取締役に就任
・2023年8月 就労継続B型施設「alles liebe」許認可
コワーキング&スタディールーム「SABO」開設
〔小野さん〕
・1977年4月 東京都港区で生まれる
・1980年3月 相模原市に引っ越す
・2001年4月 相模原市活動推進員一期生として上鶴間公民館に勤務
・2004年4月 株式会社リガルジョイント入職
・2013年4月 社会福祉法人まちだ育成会 かがやき入職
・2022年3月 退職
・2022年4月 障がい者結婚相談所アドバイザーとして勤務
・2022年11月 株式会社alles liebe 取締役副社長就任
〔さぼ吉〕
・2023年8月 相模原市で生まれる
コワーキング&スタディルーム「SABO」宣伝部長に就任 こうご期待!!
障がい者向けの斬新なサポート・誰でも気軽に立ち寄れる施設づくり
はじめに、御社の事業概要について教えてください
〔青木さん〕
障がい者専門の結婚相談所 ”Perfect for you”と就労継続支援B型施設であるスタディ&ワークスペース“SABO”の運営・足こぎ車いす「コギー」の宣伝・レンタル・販売がメインの業務で、B型施設の運営と結婚相談事業には特に力を入れています。
結婚相談事業では、200人を超えるコミュニティを運営しており、伴走支援から婚活パーティの開催やお見合いのセッティングといったサポートを行っています。
“SABO”とはどんなところですか?
〔青木さん〕
スタディ&ワークスペースという名の通り、勉強やお仕事の打ち合わせにも使え、どなたでもふらっと気軽に寄れるスペースですね。
開所してから色々な方に利用していただき、サラリーマンの方やご夫婦で来られる方もいらっしゃいます。
週に何日も使ってくれるリピーターの方もおり、利用者さんの中には「SABO」でイベントを開催している方もいるほか、「静かで落ち着いた雰囲気」、「電子機器などの設備も充実している」といったコメントもいただいています。
なぜ淵野辺に“SABO”を開設されたのですか?
〔青木さん〕
利用者のアクセスや地域の方々との接点も持ちたかったので、雨にも濡れずに来られるような駅周辺にこだわりました。
物件探しは本当に大変で、前職である福祉法人をやめたのが3年前くらいで、100件以上の物件を見たり現地に行ったりなど、正直一番きつかったですね(笑)。
障がい者専門結婚相談所を始めたルーツとは?福祉の世界で感じた違和感
起業のきっかけは何だったのでしょうか?
〔青木さん〕
元々障がい者施設でずっと働いており、サービス管理責任者にもなりましたし、施設も変わるなど長らく福祉の世界に入っていました。
当時はまったく起業する気はなかったのですが、自身がやりたい支援の視点では福祉の現場が窮屈に感じていました。
やりたい支援ができないという想いが募り、今の状況でできなけれ自分でやるしかないと強く感じるようになりました。
青木さんと小野さんのお二人で現在の事業をお考えになられたのでしょうか?
〔小野さん〕
青木が先輩で、自分は福祉のことを知らずに飛び込んだので、当時は青木から色々と叩き込まれました(笑)。
ただ、当時から青木の考え方や、面白い発想などをリスペクトしており、自分たちの考えるB型施設を作りたいという話も青木から出てきたんですよね。
それで、当時とある福祉の研修に青木から誘われて一緒に受講したんですけど、その中で障がい者専門の結婚相談所のコンテンツがあり、二人ともそこで衝撃を受けました。
福祉の世界での違和感とはどのようなものだったんでしょうか?
〔青木さん〕
障がい者の恋愛はかなりセンシティブな扱いを受けているのが実情なんですね。
福祉施設で働いている当時、障がい者のカップルがおり、私個人としては結婚出来たら良いのにという想いがあって、例えばシェアハウスで一緒に住んで後見人をつけるなど、結婚は全然実現できると思いましたが、当時は実現できませんでした。
現代は社会資源が豊富なにもかかわらず、恋愛や結婚は「個人の考え」だから口出しや支援はしない、というような風潮が強くあって、そこにとても違和感を感じていました。
また、利用者は結婚したいと思っているが、「迷惑をかけるから」とか「こんな障がい者を好きになってくれるわけがない」と考えてしまい、結婚してはいけないと考えてしまう人もいるんですよね。
私は「そんなことないのに」といつも思っていました。
そんな中で先の研修での話を聞いて、障がい者も当たり前に結婚を目指せるような事業をやってみようとなりましたね。
福祉の経験を活かし新たなビジネスの創出へ
会社を立ち上げてみて、苦労されていること、特に大変だったことはなんですか?
〔青木さん〕
知らないことだらけで、世の中こういう風に回っているんだと気づかされました(笑)。
お金の話とか従業員を守ることなど、不安も本当にたくさんありますが、自信がないとか、後悔をしたことは一度もないですね。これからどこまでやっていけるかというワクワク感がずっとあります(笑)。
小野とも意見がぶつかることがありますが、お互いを尊重してやれています。
特に大変だったのは、物件が見つかるまでと、法人を立ち上げる時。あとSAPのプログラムですね(笑)。
自分たちはSAPを受けられるステージじゃないと思うときもあるんですが、がむしゃらに頑張っていれば多方面から様々なアドバイスを受けられるので、本当に勉強になります。
動けば動くほど周りのみんなが動いてくれるのが本当にうれしくて、この恩を障がい者の方へのサポートを通じて返していきたいと思っています。
やりがいについて教えてください
〔青木さん〕
おかげさまで結婚相談所の問い合わせがすごく多くて、開業してから3年になりますが、一回も新規会員が0の月がないですね。
今は月3~4人ほどの登録で、必要としてくれる方がいることが励みになってます。
〔小野さん〕
障がいを持つ人がくすぶってしまうことにすごくモヤモヤしちゃうんですよね(笑)。
全面的に出てきた方が良いよって、そう考えてしまうんです。
施設などのPRはどうやっていますか?
〔青木さん〕
相模原市や相模原市産業振興財団のおかげで予想より認知度が広がってます。
財団の山本さんにお願いして、「さがみはら産業あるある情報」に私たちの情報を載せてもらい、検索でも目につきやすくなりました。
SAPへの挑戦!急成長に必要なものとは?
SAPに参加するきっかけなんだったのでしょうか?
〔青木さん〕
最初に神奈川ビジネスオーディションに応募したんですけど、思いっきり落ちました(笑)。
落ちた人向けのセミナーを受講した時に、各市町村で似たような支援がありますってことを知り、財団の山本さんに相談したら、SAPを勧めてくれたので、エントリーしました。
令和4年度から参加されてますが、参加してみての感想は?
〔青木さん〕
よかったですね、採択されてなければ今時点でここまで事業が進んでいなかったですし、融資も実現していなかったと思います。
お金の切り盛りもわからないし、結婚相談所は山ほどあるで、どう実現するのかというところをしっかりと見つめ直せました。
去年のシード編の時はそもそも言葉の意味がわからなかったです、VCとかなんだろって感じで(笑)
自分で本を買って勉強することもありましたが、メンターの方がこちらの話をしっかりと聞いてくれて、融資の時でも相談に乗ってくれるなど、伴走してくれているという印象は強かったです。
ちなみに、昨年度の二次審査は落ちたと思いました(笑)。
SAPに参加してみて、変化を実感したことはなんですか?
〔小野さん〕
ビジネス意識ですね。
特に青木はそうですけど、我々の事業は福祉的要素の部分が強いので、福祉寄りの発想になることが多いのですが、それをビジネス視点に切り替えるようになりました。
〔青木さん〕
そもそも障がい者向けのビジネスは風当たりが強いんですね。
ただ、私たちは障がい者に対しても対等でいたいので、そこを大事にしています。今でも福祉寄りの発想になっちゃいますが、しっかり視点を切り替えていく意識を持ち続けたいです。
株式会社になってからも、責任の感じ方は変わりました。
地域の人が使って喜んでくれるのを見ると、「SABO」を多くの方に知っていただく必要があるなと、新しい感覚がどんどん出てきますね。
相模原での起業・先輩起業家としてのメッセージ
相模原市で起業して、よかったことはありましたか?
財団の山本さんは変わらず、ずっと気にかけてくれるし、その他にも、様々な支援が受けられることですね。
また、市のSDGsパートナーのつながりでメディアでもPRできましたし、新聞やテレビの取材も来てますね。
最後に、先輩起業家としてメッセージをお願いします!
〔青木さん〕
相模原市では、いろんな支援があるので、そのピースを見つけることが大事ですね。
自分から動くことは絶対に必要です。
助成金でもなんでもまずはトライしていただきたいです!
〔小野さん〕
相模原市はあたたかなサポートが充実しているので、頑張ってほしいです。
企業情報
会社名
株式会社alles liebe
所在地
〒252-0206 神奈川県相模原市中央区淵野辺3-5-10
設立年月
2022年11月