荒木紀歳ARM Technologies代表取締役社長CEO

 

先輩起業家インタビュー 第4弾

2014年にARM Technologies株式会社を設立した代表取締役社長CEOの荒木 紀歳さん。
設立から入居している「さがみはら産業創造センター(通称「SIC」)」にて、インタビューしてきました!
令和4年には、電力量をこれまでの液体電池の10倍以上高めた新しい液体電池を開発・リリースし、以降も研究開発を進め、現在では20倍までに性能をアップさせています!
令和5年度の相模原アクセラレーションプログラム(SAP)に採択され、更なる成長を目指しチャレンジを続けている荒木さん
世界で唯一の技術を武器に、未来のエネルギー革命を目指す荒木さんの熱い想いを語っていただきました!

プロフィール

・2003年3月  山形大学大学院理工学研究科修了
 液晶性高分子の分子鎖配向制御による機能化の研究
・2003年4月  ソニー株式会社マテリアル研究所にて電気化学デバイスの研究、ソニーエナジーデバイスにてリチウムイオン電池の開発に従事
・2011年12月 ソニー株式会社退職とともに相模原市に移住して起業を目指す
・2012年4月  営業や会社経営の知識がないことに気が付き、起業を一旦あきらめる
・2012年5月  株式会社KRI入社 京都市へ移住 次世代電池の受託研究に従事 研究開発しながら受託研究の営業を学ぶ 
・2014年6月  ARM Technologies株式会社設立
再び相模原市に移住するとともに液体電池の開発開始


自社独自の液体電池で目指すエネルギー革命とは!?

はじめに、御社の事業概要について教えてください

液体電池を開発しており、昨年は、従来の燃料電池と比べ、電力量が10倍の200Wh/Lの液体電池の開発に成功しました。
現在ではさらに改良を重ね、400Wh/Lまで達成しています。
液体電池の電力量が220Wh/L以上になると、日本における火力発電、原子力発電による電気よりも安価提供が実現可能です。
将来的には、エネルギーキャリアとして、安くて安全でクリーンなエネルギーを世界に運び、誰でも自由に使えるようなエネルギーの解放、つまりエネルギー革命を実現したいと考えています。
※Wh/L(ワットアワーリットル)とは、1リットルあたりの電力量を表す単位です。

 400Wh/Lは、一般的なリチウムイオン電池と同等の電力量です。

将来像や起業のきっかけは何ですか?

元々ソニーに勤めており、エネルギー関連の技術は持っていました。
エネルギーは世界中で平和を脅かす原因にもなる側面を持っており、そこを何とかしたいという想いはずっとありましたね。
それから、「起業したい」、「自分でチャレンジしたい」、という想いもずっと持ってました。
学生時代にはビジネスコンテストにも出ていて準優勝したこともありますし、ソニーに入社した時も、「起業するので辞めます」ってずっと言ってました(笑)。

目指す世界に向け、現時点での課題やボトルネックはなんですか?

課題としては、当社が組織としてまだ小さいというところですね。
少人数でできる限界をちゃんと理解して、「限界を広げる、組織を大きくする」という考え方と、「組織の限界を外の人に助けてもらう」考え方もあると思うんです。今のところは、組織自体を大きくするよりも、いろんな人との関わりで目指す世界を実現したいと考えていますね。
ただ、それも含めて今のままで自分が取り組んできたものや考えが、本当の意味で正解なのかどうか、みたいな不安感は正直ずっとあります。
そういう意味では、ビジネスの先輩や支援をしてくださる方々など、様々な人から意見をもらいたいと思っています。

エネルギーフリーへの険しい旅路とは、これまでの冒険譚

創業はどのように始められたのですか?

2011年にソニーを退職したんですけど、当時は郡山市にいて、地震の被害を受け、妻の実家である相模原に避難しました。
いきなり受託研究をしようと思っていたんですけど、当時は単なる技術者だったものですから、どうやって営業をしたらよいのかわからなかったんですね。
そのまま8か月くらいたってお金が尽きてきたので、「勉強しなければ!」と思い色々調べていたら、京都のKRIという受託研究会社を見つけました。そこでは、研究者が自ら営業に行くことになっていたので、これは良いと思い1年半ほど在籍しました。
ある程度営業のノウハウも獲得したので、実家の近くのSICのDesk10に入居しARMを立ち上げました。当時はPC1台で世界を平和にすると言って笑われてました(汗)。
設立当初はコンサルティング業務を主としており、そこで稼いだお金で設備を整え、開発を始めましたね。

Desk10
スタートアップや一人で事業活動を行う方、企業のテレワーク場所などでご利用頂ける会員制シェアオフィスで、SICに設置されています。

創業時や会社経営をする中で、ご苦労されていることはなんですか?

・苦労していることはステージごとに変わってますね、色々なことで苦労しました。
前にも言いましたが、地獄みたいな生活を送ってきたと思ってます(汗)。
第一にお金がない地獄で、遠方に営業に行く際は夜行バスで行ってました。早めに予約すれば横浜から愛知に2,000円で行けましたね。新幹線に乗れるようになって、「一人前になったなぁ」としみじみ思います(笑)。
最初は設備もなかったんで、コンサルティング業務で稼いだお金で、充放電装置やグローボックスを買っていました。ただ、お金の使い方がわかっておらず、経費で落ちなかったりもしました(笑)。
あとは多忙の地獄ですね、営業・受託開発・レポートの作成を業務として、本来の目的である液体電池の基礎研究をしていた時には3日徹夜とかざらにありました。今そんなことしちゃうと4日間寝ちゃうんでやりません(笑)。

液体電池は、創業当時から構想していたのですか?

会社を作ったときは実は液体電池の概念はなかったです。
エネルギー革命を起こすにはどうするべきか、日々の業務をこなしながらもひたすら考えていました。
まずは世界中の人が使うものを作る。それを集約して開放する。例えば、今世の中にあるものをテーブルに並べたとして、神様が一つだけ与えてくれるなら何か、ということを考えた時、液体電池の密度を上げることだと気づき、そこから研究を始めました。
「エネルギー革命家」としての目指す世界は10年前から変わりません。
これからもずっとそれを考えて頑張っていきます。

SAPへの挑戦!急成長に必要なものとは?

SAPを受けてみた感想はいかがですか?

色々なプロに会えることはありがたいです。
自分は技術者の出で経営のノウハウがあまりないので、経営のプロやビジネスのプロから話をたくさん聞けて、今までの自分にはなかった気づきがとても多いですね。
これからも引き続きお願いしたいです。

例えばどんな話を聞きたいですか?

成功者の方からはやっぱりお話を聞きたいですね。
王道のやり方はもちろん、イレギュラーな方法で成功された方の話も聞きたいです(笑)。
自分の領域に限らず、様々な業種の方のお話をどんどん取り込んでいきたいですね!

相模原での起業・先輩起業家としてのメッセージ

相模原市に期待しているところはなんですか?

SICさんや相模原産業振興財団さんには色々と支援をいただいていて、神奈川サイエンスパークのピッチイベントに推薦してもらったりしていただきました。
市の支援についてもこれから色々と活用していきたいと考えています。

最後に、先輩起業家としてメッセージをお願いします!

自分を信じていても、どこかで怖気づいてしまうこともあると思います。
そういう時には自分のやっていることは正しいと言い聞かせるようにしてますね。
自分を信じてチャレンジを続けてほしいと思います!

さがみはら産業創造センターにて。入居されているスペースには開発ラボが設置されてます!

企業情報

会社名

ARM Technologies株式会社

所在地

〒252-0131 神奈川県相模原市緑区西橋本5-4-21 さがみはら産業創造センター SIC-2 R&D Lab 2313

設立年月

2014年6月

ホームページ

https://armtechnologies.jp/company-profile/3

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