起業・創業のイロハ
STAGE 02『ロ』
起業・創業に
必要な手続きを知る
STAGE02の”ロ”では、
起業・創業時に必要な手続きを
ご紹介しています。
個人/法人など事業形態によって
必要な手続き等が異なりますので、
それぞれ理解を
深めることができます。
目次
事業形態を考える
今後展開していく 起業 の事業形態によって、
特徴や必要な手続きが異なります。
実際に起業する前に、それぞれの
特色や手続きなどを把握しておきましょう。
個人?それとも法人?
事業を個人で行うか、それとも法人で行うか、よく検討することが大切です。それぞれ、社会的信用や手続き、税金面などで違いがありますので、以下を参考に総合的に判断しましょう。また、個人で起業し、ある程度軌道に乗ってきたら法人化するケースもみられます。
<個人>
- メリット …事業開始時の手続きが簡単、一定の所得までは個人事業主の方が税金が安い など
- デメリット…法人に比べ社会的信用が低い、利益が増えると税負担が大きくなる など
<法人>
- メリット …社会的信用が高い、一定の所得を超えたら所得税よりも節税になる など
- デメリット…事業開始時に多くの手続きと費用が発生、赤字でも税金の支払いがある など
個人事業主
設立手続き | 開業前に行う手続きはなく、届出をする |
開業資産 | お金がなくても開業できる |
事業規模 | あまり大きくできない |
資金調達 | 金融機関からの借入 |
責任の範囲 | 事業に万一のことがあると、自身で全責任を負う(無限責任) |
経理 | 白色または青色申告 |
税金 | 課税所得の額によって所得税率が変わる |
法人
設立手続き | 会社法に基づいた設立手続が必要 |
開業資産 | 資本金や設立手続の際に必要となる |
事業規模 | 出資や金融機関の借入により、大きくすることができる |
資金調達 | 出資者からの資本金及び金融機関からの借入 |
責任の範囲 | 法人と個人の財産は区別されているため、出資分を限度に責任を負う(有限責任)、ただし、代表者個人が取引等で保証する場合、個人が保証責任を負う |
経理 | 複式簿記による決算が必要 |
税金 | 法人税は25.5%の定率 なお、中小企業の場合、課税所得が800万円以下であれば特例で15%となる |
会社の種類について
会社には、次の4種類の形態があります。
- 株式会社
- 合同会社
- 合名会社
- 合資会社
形態ごとに、それぞれ異なる特徴があります
項目 / 形態 | 株式会社 | 合同会社 | 合名会社 | 合資会社 |
---|---|---|---|---|
最低資本金 | 規定なし | 規定なし | 規定なし | 規定なし |
出資者数 | 1人以上 | 1人以上 | 1人以上 | 2人以上 |
出資 | 金銭・その他財産 | 金銭・その他財産 | 金銭・その他財産・信用・労務 | 無限責任社員は合名会社の社員と同じ有限責任社員は金銭・その他財産 |
出資者の責任 | 有限責任 | 有限責任 | 無限責任 | 無限責任または有限責任 |
意思決定機関 | 株主総会 | 全社員の同意 | 全社員の同意 | 全社員の同意 |
代表機関 | 代表取締役 | 原則社員 | 原則社員 | 原則社員 |
定款の認証 | 必要 | 不要 | 不要 | 不要 |
株式会社の機関設計とは
株式会社は、発行する全部の株式について譲渡制限の定めを設けている非公開会社と、それ以外を指す公開会社の2つの区分があります。株式会社における機関設計は次のとおりです。
株主総会 | 全ての株式会社で設置 |
取締役 | 全ての株式会社で最低1名必要、ただし、取締役会を設置する場合は3名以上必要 |
取締役会 | 非公開会社では任意設置、それ以外では必ず設置 |
監査役 | 非公開会社では任意設置、取締役会を設置する会社では原則設置 |
監査役会 | 大会社(非公開会社、委員会設置会社を除く)では必ず設置、取締役会を設置しない場合には設置できない |
委員会 | 監査役会を設置する場合には設置できない、また、会計監査人を設置しない場合には、設置できない |
会計監査人 | 大会社では必ず設置、大会社以外の会社は任意設置 |
会計参与 | 全ての株式会社で任意設置、大会社以外の非公開会社が取締役会を設置する場合、会計参与を設置することで、監査役に代えることができる |
※大会社:資本金が5億円以上または負債総額が200億円以上の株式会社
会社設立の流れ
会社設立のおおまかな流れは以下となっています。
項目 | 内容・留意点 | 費用 |
---|---|---|
発起人会を開催し、会社の基本事項を決める(目的、商号、所在地など) | ・法務局で類似商号を事前に確認する ・必要な許認可等を事前に確認する ・発起人が1人の場合は、発起人決定書を作成する ・発起人が2人以上の場合は、発起人議事録を作成する ・発起人全員の同意を証する書面を作成する | なし |
印鑑等を作る | ・2週間程度かかる場合があります ・印鑑登録をする ・必要であれば、電子証明書を取得する | 印鑑は数万円 電子証明書は年間1万円程度 |
定款を作る | 定款を3通作成し、そのうち1通に収入印紙4万円を貼付する | 収入印紙4万円 (電子認証の場合は不要) |
定款の認証を受ける | 公証役場で認証を受ける | 認証費用5万円 定款の謄本交付手数料250円×定款のページ数 |
資本金を払い込む | ・発起人会が決定した代表発起人個人名義の口座に出資金を払い込む ・現物出資の場合は現物出資財産を給付する ・払込証明書、財産引き継ぎ書を作成する | 収入印紙4万円 (電子認証の場合は不要) |
設立登記の申請をする | ・法務局へ登記申請する | 登録免許税 資本金の額の1000分の7又は15万円のいずれか大きい方 ※認定特定創業者の場合は減免あり |
諸官庁への届出をする | ・税務署、県税事務所、市役所などへ届出 | なし |
許認可の手続きを確認しよう
業種や事業規模によっては、許認可等が必要な場合があります。
起業する前に、許認可の手続きの有無を確認しておきましょう。
主な許認可等と手続き窓口
起業・開業しようとしている業種にどのような許認可等が必要か、行政書士等の専門家に相談しましょう。
業種 | 許認可等 | 手続き窓口 |
---|---|---|
飲食店、喫茶店、食品製造業、食品販売業など | 免許 許可 | 相模原市役所 生活衛生課(食品衛生班) 生活衛生課(津久井班) |
ふぐ営業 | 免許 認証 許可 | 相模原市役所 生活衛生課(食品衛生班) 生活衛生課(津久井班) |
酒類販売 | 免許 | 相模原税務署 |
薬局 | 免許 許可 | 相模原市役所 地域保健課(医事薬事班) |
理容・美容 | 免許 届出 | 公益財団法人 理容師美容師研修センター 相模原市役所 生活衛生課(食品衛生班) |
クリーニング | 免許 届出 | 神奈川県庁 生活衛生課 相模原市役所 生活衛生課(食品衛生班) |
ホテル・旅館 | 許可 | 相模原市役所 生活衛生課(食品衛生班) |
介護 | 指定 | 相模原市役所 福祉基盤課(指定・育成班) |
不動産 | 許可 | 神奈川県庁 建設業課 横浜駐在事務所 |
建設 | 許可 | 神奈川県庁 建設業課 |
電気工事 | 登録 | 神奈川県庁 消防保安課 |
ペットショップ | 登録 | 相模原市役所 生活衛生課(食品衛生班) 生活衛生課(津久井班) |
質屋 | 許可 | 津久井警察署 生活安全課 相模原北警察署 生活安全課 相模原警察署 生活安全課 相模原南警察署 生活安全課 |
リサイクル、骨董、古本 | 許可 | 津久井警察署 生活安全課 相模原北警察署 生活安全課 相模原警察署 生活安全課 相模原南警察署 生活安全課 |
警備 | 認定 | 津久井警察署 生活安全課 相模原北警察署 生活安全課 相模原警察署 生活安全課 相模原南警察署 生活安全課 |
運送 | 許可 | 国土交通省 関東運輸局 神奈川運輸支局 |
タクシー | 登録 | 国土交通省 関東運輸局 神奈川運輸支局 |
自動車整備 | 認証 | 国土交通省 関東運輸局 神奈川運輸支局 |
旅行 | 登録 | (第1種)国土交通省 関東運輸局 神奈川運輸支局 (第1種以外)神奈川県庁 観光企画課 |
人材派遣(一般) | 許可 | 厚生労働省 神奈川労働局 |
旅行 | 許可 | 厚生労働省 神奈川労働局 |
防火管理の届出
施設や店舗の規模や用途などによっては、火災の予防や被害の軽減のため、防火管理者と消防計画の届出が必要になります。不明な場合は管轄の消防署に相談しましょう。
規制に関するご相談について
経済産業省では、新事業活動を支援するため、次のような規制改革制度を用意しています。
①規制の解釈・適用の有無を確認する「グレーゾーン解消制度」
②事業の「実証」を行い、規制改革・事業化につなげる「規制のサンドボックス制度」
③規制の特例を設けて事業化につなげる「新事業特例制度」
④規制法令を特定し、法律上の論点整理を行う「スタートアップ新市場創出タスクフォース」
このほか、国内の規制改革制度をまとめたガイダンスが公表されています。
諸官庁への届出を確認しよう
起業・
起業・開業をすると、法人税や消費税などを納める必要があり、税務署等への届出をしなければなりません。届出を怠ると、納税時や資金の借入の時に不利になる場合があります。
個人事業主と法人、税務手続きの違い
税務署への申告は、「白色」と「青色」の2種類があります。
法人の場合は青色が一般的です。個人事業の場合は、どちらかを選択することになります。
青色申告の場合は、複式簿記による記帳が必要になります。
青色申告を選択した場合、事業所得などに損失が出た場合に複数年にわたって繰り越し控除ができたり、特定の設備で減価償却の特例が受けられたりします。
税務署に届出するもの
届出書類 | 提出期限など |
---|---|
個人事業の開廃業届出書 | 開業の日から1か月以内 |
所得税の青色申告の承認申請書 ※青色申告の場合のみ | 開業の日から2か月以内 (開業の日が1月1日から1月15日までの場合は3月15日まで) |
青色事業専従者給与に関する届出書 ※専従者給与が発生する場合のみ | 開業の日から2か月以内 (開業の日が1月1日から1月15日までの場合は3月15日まで) |
給与支払事務所等の開設届出書 ※従業員を雇用するとき | 給与支払事務所等を設けた日から1か月以内 |
源泉徴収所得税の納期の特例の承認に関する申請書 ※希望する場合のみ | 適用を受けようとする月の前月末日まで |
所得税のたな卸資産の評価方法の届出書 ※たな卸資産がある場合 | 最初の確定申告の提出期限まで ※届出ない場合は最終仕入原価法になる |
所得税の減価償却資産償却方法の届出書 ※減価償却資産がある場合のみ | 最初の確定申告の提出期限まで ※届出ない場合は定額法になる |
県税事務所に届出するもの
届出書類 | 提出期限など |
---|---|
開業届 | 開業の翌月の10日まで |
税務署に届出するもの
届出書類 | 提出期限など |
---|---|
個人事業の開廃業届出書 | 開業の日から1か月以内 |
所得税の青色申告の承認申請書 ※青色申告の場合のみ | 開業の日から2か月以内 (開業の日が1月1日から1月15日までの場合は3月15日まで) |
青色事業専従者給与に関する届出書 ※専従者給与が発生する場合のみ | 開業の日から2か月以内 (開業の日が1月1日から1月15日までの場合は3月15日まで) |
給与支払事務所等の開設届出書 ※従業員を雇用するとき | 給与支払事務所等を設けた日から1か月以内 |
源泉徴収所得税の納期の特例の承認に関する申請書 ※希望する場合のみ | 適用を受けようとする月の前月末日まで |
所得税のたな卸資産の評価方法の届出書 ※たな卸資産がある場合 | 最初の確定申告の提出期限まで ※届出ない場合は最終仕入原価法になる |
所得税の減価償却資産償却方法の届出書 ※減価償却資産がある場合のみ | 最初の確定申告の提出期限まで ※届出ない場合は定額法になる |
県税事務所に届出するもの
届出書類 | 提出期限など |
---|---|
開業届 | 開業の翌月の10日まで |
市役所に届出するもの
届出書類 | 提出期限など |
---|---|
法人等の設立申告書 | 設立の日から10日以内 |
社会保険と労働保険
法人の場合、従業員の福利厚生と健やかな生活のために社会保険・労働保険の加入について検討する必要があります。ここでは、法人の社会保険・労働保険についてご紹介します。
社会保険とは
健康保険と厚生年金保険を合わせて社会保険といいます。従業員の福利厚生と将来の生活保障のため、また、将来事業を拡大して従業員を増やす場合に備えて、社会保険の加入を検討しましょう。
加入について、法人は業種、雇用人数に関わらず、加入が義務付けられています。個人事業所では、常時5人以上(パート含む)の従業員がいる場合に強制加入となります。従業員が5人未満の場合やサービス業の一部(飲食店や理・美容業など)、農林漁業などは任意加入です。
労働保険とは
労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険を合わせて労働保険といいます。農林水産業の一部を除き、労働者(パート含む)を一人でも雇っていれば、業種や事業規模に関わらず全て適用事業所になります。労災保険未加入中に労災事故が発生した場合、多額の給付費用を請求される場合がありますので、必ず加入手続きをとってください。雇用保険に加入している場合、各種助成金の支給が受けられる場合があります。(詳しくは神奈川労働局にお問い合わせください。)
また、正社員・パートを問わず、従業員を雇用した場合には、給与、労働時間、休日などの労働条件を記載した「労働条件通知書」(雇用契約書)を従業員に交付しなければなりません。時間外労働をさせるには、「時間外労働と休日労働に関する協定届」(いわゆる「三六協定」)を労働基準監督署に提出しておく必要があります。
社会保険・労働保険|必要な届出
届出書類 | 提出期限など | 備考 |
---|---|---|
健康保険、厚生年金保険新規適用届 | ・法人の場合は、強制適用。法人設置の日から5日以内に届出が必要。 ・個人事業の場合は、従業員が5人以上になった日から5日以内に届出が必要。 | ・週40時間の事業所の場合、週30時間以上働く者が加入対象。 ・個人事業主は社会保険には加入できず、国民健康保険と国民年金になる。 |
新規適用事業所概況書 | ・法人の場合は、強制適用。法人設置の日から5日以内に届出が必要。 ・個人事業の場合は、従業員が5人以上になった日から5日以内に届出が必要。 | ・週40時間の事業所の場合、週30時間以上働く者が加入対象。 ・個人事業主は社会保険には加入できず、国民健康保険と国民年金になる。 |
健康保険、厚生年金被保険者資格取得届 | ・法人の場合は、強制適用。法人設置の日から5日以内に届出が必要。 ・個人事業の場合は、従業員が5人以上になった日から5日以内に届出が必要。 | ・週40時間の事業所の場合、週30時間以上働く者が加入対象。 ・個人事業主は社会保険には加入できず、国民健康保険と国民年金になる。 |
健康保険被扶養者(異動)届 | ・法人の場合は、強制適用。法人設置の日から5日以内に届出が必要。 ・個人事業の場合は、従業員が5人以上になった日から5日以内に届出が必要。 | ・週40時間の事業所の場合、週30時間以上働く者が加入対象。 ・個人事業主は社会保険には加入できず、国民健康保険と国民年金になる。 |
国民年金第3号被保険者関係届 | ・法人の場合は、強制適用。法人設置の日から5日以内に届出が必要。 ・個人事業の場合は、従業員が5人以上になった日から5日以内に届出が必要。 | ・週40時間の事業所の場合、週30時間以上働く者が加入対象。 ・個人事業主は社会保険には加入できず、国民健康保険と国民年金になる。 |
届出書類 | 提出期限など | 提出期限など |
---|---|---|
雇用保険適用事業所設置届 | 雇用開始の日から10日以内 | ・常時1人以上雇用する場合は届出が必要。 ・加入対象となる従業員は、1か月以上の雇用期間があり、かつ、週20時間以上働く者。 |
雇用保険被保険者資格取得届 ※建設業などは手続きが異なるため要確認 | 雇用開始の月の翌月10日まで | ・常時1人以上雇用する場合は届出が必要。 ・加入対象となる従業員は、1か月以上の雇用期間があり、かつ、週20時間以上働く者。 |
届出書類 | 提出期限など | 備考 |
---|---|---|
適用事業報告 | 労働者を使用するようになったとき遅滞なく | 1人でも雇用している事業所は強制適用 |
労働保険関係成立届 | 労働保険関係が成立した日から10日以内 | 1人でも雇用している事業所は強制適用 |
労働保険概算保険料申告書 | 労働保険関係が成立した日から50日以内 | 1人でも雇用している事業所は強制適用 |
時間外労働と休日労働に関する協定届(いわゆる「三六協定」) ※労働者に時間外労働等をさせる場合に必要 | 随時 | 1人でも雇用している事業所は強制適用 |
就業規則届 | 常時10人以上の労働者を使用する場合速やかに | 1人でも雇用している事業所は強制適用 |
個人事業の税金について
特殊な業種を除いて、個人事業を展開する事業主には、どのような税金が課税されるのかを把握しておきましょう。
個人事業の税金の種類について
次の4種類の形態があります。
所得税(国税)
個人事業税(県税)
市県民税
事業所税(市税)
所得税(国税)
所得税とは個人がその年の1月1日から12月31日までの1年間に得た所得の金額に課税される税金のことです。原則として次のような計算によって税額が算出されます。
【所得税 算出方法】
- 収入-必要経費=所得金額(①)
- 所得金額(①)-所得控除=課税所得金額(②)
- (課税所得金額(②)×税率)-速算控除額-税額控除額=納税額
税率と控除額については、下記を参照してください。( 平成25年2月末現在 )
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
※平成25年から令和19年までの各年分の所得税については、その年分の基準所得税を課税標準として2.1%の復興特別所得税が課されます。
個人事業税(県税)
事業を行っていることに対する税金です。事業税の計算方法は以下のとおりです。
個人事業税額 算出方法
{(所得金額-事業専従者控除額)-損失の控除額-事業主控除額*①}×税率*②=事業税額
*① 事業主控除額=290万円
*② 税率=業種により3~5%とされています。
市県民税
市県民税は所得税の確定申告の数値をもとに役所が税金を計算して納税額を通知します。市県民税の計算方法は所得税の計算方法とほぼ同じです。大きく違うのは、差し引く所得控除の額と税率と控除額です。
市県民税は均等割と所得割の2種類があります。
均等割は、基本的に一律4000円が課税されます。自宅と異なる区に事業所等がある場合には、均等割が課税されます。
市県民税 算出方法
- 収入金額-必要経費=事業所得の金額(①)
- 事業所得の金額(①)-所得控除=課税所得金額(②)
- 課税所得金額(②)×市民税6%=市民税所得割額
- 課税所得金額(②)×県民税4%=県民税所得割額
事業所税(市税)
事業所税は市内の事業所等(事務所、店舗、工場など)で事業を行う場合に課税されます。
事業所税 算出方法
①資産割
「事業所床面積×600円」で算出されます。
なお、市内の事業所床面積の合計が1,000㎡以下であるときは課税されません。
②従業者割
「従業員給与総額×0.25%」で算出されます。
なお、市内の事業所等の従業員数が100人以下であるときは課税されません。
法人の税金について
法人化された会社にかかる税金について、紹介していきます。
個人とは異なる算出方法などもありますので気をつけましょう。
法人事業の税金の種類について
次の4種類の形態があります。
法人税(国税)
法人住民税(県民税・市民税)
法人事業税(県税)
事業所税(市税)
法人税(国税)
法人の計算では収益から費用を差し引いて利益を計算しますが、この利益がそのまま法人税の対象となる所得の金額とはなりません。
損益計算書で計算した利益に税務上の調整を加えます。法人税では収益のことを「益金」、費用のことを「損金」と呼びます。
法人税 算出方法
所得(①)×税率-税額控除=納税額
所得(①)=益金(②)-損金(③)
益金(②)=会社の収益+益金算入額-益金不算入額
損金(③)=会社の費用・損失+損金算入額-損金不算入額
税率については、下記を参照してください。
項目 | 区分 | 開始事業年度 平成28年4月1日以降 | 開始事業年度 平成30年4月1日以降 | 開始事業年度 平成31年4月1日以降 |
資本金1億円以下の法人など(※1) | 年800万円以下部分 | 15% | 15% | 15%(※2) |
資本金1億円以下の法人など(※1) | 年800万円超の部分 | 23.40% | 23.20% | 23.20% |
上記以外の普通法人 | – | 23.40% | 23.20% | 23.20% |
※1 対象となる法人は以下のとおりです。
- 各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもの(特定の医療法人を除く。)。ただし、各事業年度終了時において次の法人に該当するものについては除く。
- 相互会社及び外国相互会社
- 大法人との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
- 大法人:資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人、相互会社及び外国相互会社、受託法人
- 100%グループ内の複数の大法人に発行済株式又は出資の全部を直接又は間接に保有されている法人(②に掲げる法人を除く)
- 投資法人
- 特定目的会社
- 受託法人
- 非営利型法人以外の、一般社団法人及び一般財団法人
※2 平成31年4月1日以後に開始する事業年度において適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等)に該当する法人の年800万円以下の部分については、19%の税率が適用されます。
税額控除等の内容
税額控除 | 所得税額控除・リース税額控除・外国税額控除など |
---|---|
益金不算入 | 受取配当金還付法人税など |
益金算入 | 特定外国子会社の留保金額 |
損金不算入 | 定期同額給与以外の役員報酬、交際費、寄附金の一部、法人税など |
損金算入 | 青色欠損金額、災害損失金 |
法人住民税(県民税・市民税)
個人が住民税を納めるのと同じように、法人も住民税を納めます。法人が納める住民税を法人住民税といい、次のものがあります。
法人県民税
法人県民税は、県内に事務所または事業所がある法人などに課税される税金で、法人の資本金等の額に応じた均等割と法人税の額によって算出される法人税割があります。
- 均等割
資本金の額が1,000万円以下の法人は均等割額は年額2.1万円(森林環境税を含む)になります。なお、均等割については、事業が赤字でも支払う必要があります。 - 法人税割
資本金等の額が1億円以下の法人で、法人税額が1,000万円以下である場合、法人税割額は、「法人税×5.0%」で算出されます。したがって、法人税が課税されない場合は、県民税の法人税割は課税されません。
法人市民税
法人市民税は、市内に事務所や事業所を有する法人などに課税される税金です。税額は、法人の資本金等の額と従業員数に応じた均等割と法人税の額によって算出される法人税割があります。
- 均等割
資本金の額が1,000万円以下の法人で従業員数50人以下の場合、均等割額は年額5万円になります。また、均等割については、赤字でも支払う必要があります。
なお、均等割額は、区ごとに課税されます。2以上の区に事務所を有する場合は、合算した額を申告納付します。 - 法人税割
資本金等の額が1,000万円以下の法人は、法人税割額は「法人税額×13.9%」で算出されます。したがって、法人税が課税されない場合は、市民税の法人税割は課税されません。
法人事業税(県税)
法人事業税は、事業を行っている法人で、県内に事務所または事業所のある場合などに課税される税金です。
税額控除等の内容
課税所得金額区分 | 税率 |
400万円以下の部分 | 2.7% |
400万円~800万円以下の部分 | 4% |
800万円を超える部分 | 5.3% |
事業所税(市税)
事業所税は市内の事業所等(事務所、店舗、工場など)で事業を行う場合に課税されます。
事業所税 算出方法
①資産割
「事業所床面積×600円」で算出されます。
なお、市内の事業所床面積の合計が1,000㎡以下であるときは課税されません。
②従業者割
「従業員給与総額×0.25%」で算出されます。
なお、市内の事業所等の従業員数が100人以下であるときは課税されません。